4コマ漫画(よんこままんが)は、コマを4つ使ってひとつの話をつくる日本の漫画の形式の一つ。
最小限のストーリーを描くものとして、古くから定着している形式である。
縦に1列に並べた4コマを起承転結の配置とし、4コマ目にはオチを配置するのが基本的な表現形式である。縦でなかったり、1列に2コマ、あるいは2列構成などの場合もある。また都合上、5コマ(2列で5コマ目が他のコマの4倍)、3コマ(序破急)、8コマなどにコマ数が変動することもある。最近は、3コマ目にもオチを配置した2段オチと呼ばれるものや、本来は内容の表題であった小見出し(サブタイトル)もオチの要素とするもの(4コマ目まで読んで初めて小見出しの意味がわかるもの)など、必ずしも起承転結に沿わない形で笑いを取るものも多い。
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本来、新聞・雑誌の片隅に掲載されていた4コマ漫画であったのだが、現在では4コマ漫画専門雑誌が多数出版されるほどの盛況を誇っている。この現象は、いしいひさいちによる、既存の「起承転結」の枠組みを破壊した前衛的な4コマ漫画が発端となっており、彼以後4コマ漫画は漫画のなかで大きな位置を占めるようになる。
また、従来は話の面白さやオチの決まり具合に重点を置いた作品が多く作られてきたが、今日では絵柄、不条理ネタ、キャラクター、萌えなど他の要素に重点をおく作品なども増えつつある。
4コマ漫画は、かつては漫画の基本と言われた。
内容の傾向
ストーリー4コマ
漫画雑誌に連載で発表されている作品には、各4コマごとにオチをつけながら、物語としては完結させずに次の4コマに連続させ、複数本の4コマが総体として1つの物語をなしているような表現形式をとるものも多い。このような形式、あるいはこの形式をとっている作品は、ストーリー4コマと呼ばれている。
ストーリー4コマは、更に以下のように大別できる。
連載1回分を1つの物語とし、登場人物どうしの相関関係には基本的に変化の無いもの。
連載複数回分を1つの物語とし、登場人物どうしの相関関係には基本的に変化の無いもの。
回を追うごとに、登場人物どうしの相関関係などを少しずつ変化させていくもの。
連載開始から1年経つと登場人物も1つ年齢を重ねるなど、年齢やその他の設定に継続的な経時変化があるもの。
年齢などの設定は経時変化しないもの。
既存の登場人物の相関関係は変化させず、新たな登場人物を少しずつ継続的に加えることで物語に変化をもたせるもの。
連載開始からしばらくは上記1.のように“1話完結”であったが、途中から上記2.のように相関関係を変化させ始めたもの。
上記3.の逆で、連載開始からしばらくは上記2.のように年齢やその他の設定に継続的な経時変化があったが、途中で変化を止めたもの。
なお、上記2-2.のように、年齢が変化しないにも関わらず物語性をもった連載作品は、4コマ漫画作品の読者の間では俗に「この作品は“磯野時空”(いそのじくう)あるいは“サザエさん時空”になっている」などと表現されることがある。これは、長谷川町子『サザエさん』の舞台となっている「磯野家」を、長期間連載が続いていても年齢が変化しない空間(時空)であると捉えた語である。あるいは、上記4.のような作品であれば、「この作品は途中から磯野時空に突入した」などのような表現も用いられる。もっとも、『サザエさん』も初期は加齢があったので、もっとも典型的な「磯野時空」が上記4.の例といえる。
ストーリー4コマと呼ばれる作品が増えたのは、4コマ漫画の普及に伴い若年の読者が増えてきたこと、漫画家の世代交代で幼少の頃にストーリー漫画に親しんだ漫画家が増えてきたことが原因として考えられる。4コマ誌は元々比較的高い年齢を対象としており、基本的な関係は全く変化せずに、4コマ作品一本で話を纏めることが好まれていたが、若年層が増えたことにより、ストーリー性のある作品を好む傾向が出てきた。そのため、いしいひさいち、小池田マヤ、胡桃ちのなどの意欲的な作家により、ストーリー4コマというジャンルが確立され、「まんがタイムラブリー」や「まんがタイムジャンボ」など、若者向けの4コマ誌が誕生していったのである。
それでもあくまで4コマ漫画であるため、作品全体としてストーリーを進めつつも、4コマ作品1本にしっかりとした起承転結が存在しているものが多かった。しかし、近年ではストーリー漫画である程度の経歴を持った作家が4コマ漫画家に転身することも多くなり、単にコマが4つずつになっただけのストーリー漫画というべき作品も増えつつある。このような作品を4コマ漫画と呼ぶことに違和感があるという声も多いが、元々、戦前戦後の頃の漫画はコマ割が一定であることが多く、現在のように複雑なコマ割になりすぎたストーリー漫画に対する原点回帰だとする見方もある。
不条理4コマ
1980年末から1990年代初頭によく見られた形式。榎本俊二の『GOLDEN LUCKY』や吉田戦車の『伝染るんです。』などの作品が代表的。青年誌などで4コマ専門誌以外で掲載されることが多い。一見するとオチていなかったり、話のネタ自体が理解しづらいが、なにかしら笑える部分がある。一般受けはしにくいが、一部でコアなファンを獲得することがある。このような不条理な展開の4コマは『G組のG』などのギャグ4コマや、後述する萌え4コマにも受け継がれた部分がある。
萌え4コマ
1990年代末に萌えを重点とした4コマ漫画が増え始め、この様な作品は一般的に萌え4コマと呼ばれている。増え始めたきっかけとなったのは1999年に「電撃大王」で連載されたあずまきよひこ『あずまんが大王』が大ヒットしたからだと言われている。同時にこの年には、成人向け美少女漫画誌の主力作家である後藤羽矢子が「まんがライフ」において初の一般向け作品でありストーリー4コマ漫画となる『どきどき姉弟ライフ』を発表し、また「スポコミ」(前身は「月刊まんがパロ野球ニュース」)が休刊した後に、同じ雑誌コードを引き継いで青年向け美少女系雑誌の雰囲気を意識して編集された「まんがくらぶオリジナル」が創刊するなどの出来事が起こっている。このことも踏まえて考察すると、1999年はいわゆる「おたく文化」の4コマ漫画界への流入が本格的に始まった年であると言え、後の萌え4コマ流行の礎の一つとなったと言うことかできる。
ここに分類される基準は萌え要素の有無であり、それ以外は比較的自由である。例えば4コマ目でオチを付けることは必須条件ではないため、物語が全体として進行する、前項のストーリー4コマの特徴を含む作品も多く、これらの作品においては一般作品と比較して、オチがゆるい感じでまとめられているものが多い傾向にある。これは、オチのインパクトよりも、萌えキャラの存在が作品の人気を大きく左右するためキャラクター性が重視されるからだと考えられる。
また、前述のゆるい作風とのものとは異なり、終始ハイテンションな展開のネタで突っ走る作品も少なからず存在するが、画風などの特性においては萌え4コマと共通しており、掲載されている雑誌の系統も同じであることから、同種として括られているのが通常である。
萌え4コマの元祖を特定することは難しく、万人が納得する一つの作品に絞り込むことはできていない。萌えるかどうかは作品だけでなく読者側の問題でもあり、伝統的な4コマ作品でも受け手次第で萌えることは可能といえる。
萌え4コマ雑誌の先駆者はまんがタイムきらら(2002年創刊)だと言われるが、その母体にはOLなど女性を主なターゲットとしたまんがタイムジャンボ(90年代初頭から存在、独立創刊は1995年)、まんがタイムラブリー(1995年創刊)などの雑誌が存在し、ここですでに萌え4コマの萌芽が見られる。これらは伝統的な4コマの体裁を取りつつキャラクター重視、絵柄も重要な要素となり、少女漫画家の流入もあった。萌え4コマとしての資質を充分に備え、現在もそのように読まれている(読者層が重なる)場合が少なくない。また、同人誌界で活躍している作家が4コマ漫画業界に多数参入してくるようになったきっかけも萌え4コマの流行と「きらら」の創刊であると考えられているが、それ以前から4コマ漫画誌でデビューを果たしていた胡桃ちの・青木光恵・さんりようこらと言った作家も元々はと言えば同人誌活動をしていて、後に漫画家としてデビューした作家である。
新声社・エニックス・双葉社などが刊行したゲームパロディ4コマも源流の一つに数えられる。キャラクターが中心であることは言うまでもなく、画風も作品によってはストーリー漫画なみの描き込みが見られ、タイプとしては現在の萌え4コマとあまり変わらないものもある。
しかし萌え4コマ雑誌は、上記の「まんがタイムきらら」シリーズを除いて長続きしていないのが現状である。2003年に創刊した竹書房刊の「まんがライフMOMO」は2007年現在も刊行されており、「きらら」シリーズと同種の萌え4コマ漫画誌と括られる場合もあるが、ベースはあくまで一般4コマ誌から派生したものであり、同種というよりも「一般向け4コマと萌え系4コマの混合型雑誌」と言った独自のポジションに立っていると捉えたほうが妥当と考えられる。なお、芳文社においても元々女性読者をターゲットとしていた「まんがタイムスペシャル」が、2004年のリニューアル以降萌え4コマ誌の色合いを強めてきた結果、現在では「まんがライフMOMO」とほぼ同様のスタンスの4コマ誌として発行されるようになっている。
また、2004年には5誌が創刊したが、現在『まんがタイムきららMAX』を除いて全て休刊している(最も長く続いた雑誌は双葉社の「もえよん」で1年1ヶ月、13号)。その後、2006年9月に一迅社から「まんが4コマKINGSぱれっと」が創刊した。